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2008.09.13

しゃべるのももどかしいから この鞄もたせて歩く ふたりだけの道

通学のいつもの電車
憎らしい
あいつは本に集中している

参考書
読んでる彼のひざの上
だまって鞄ポンと置いてみる

しゃべるのももどかしいから
この鞄もたせて歩く
ふたりだけの道

3年ほど前のこと。これはノンフィクション。
会社にむかう地下鉄の車内で、わたしのとなりの席に
男子学生がぼさっとした感じですわってきました。
この男子は、ヘッドホンで音楽をずっと聞いてる。
わたしはといえば、まだ眠いなと思って目をつぶってました。
何駅かを過ぎて、それからわいわいと女子高生たちが
のりこんできました。その中のひとりが、近づいてきて、
となりの男子のまえに立つと、なにもいわずに自分のバッグを
ポンと、彼のひざの上においたんです。
「ん?」なんだ、とわたしはちょっぴりびっくり。
彼はだまっている。
そうか! 二人だけの合図なんだ、と察する。
それから彼女はひとこともしゃべらないで、
彼をつっついたりしてる。彼はいちど一言だけ
もぞもぞっとしゃべったけれど。いやいや、
ふたりはサイレントで気持ちが通じ合う関係らしかった。
それからふたりは、学校のある駅でいっしょにおりていきました。
「いいなあ」とわたしは心の中でつぶやいて、
そして灰色の職場へとむかいました。

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